日本に進出していないアパレルブランドの「Superdry」をご存じだろうか。「極度乾燥しなさい」と、少し不思議な日本語が書かれた服を売っている。なんだか字面がかっこいいと、主に日本語を解さない欧米人の間で2000年代半ばには大変人気があったようだ▼ただ現在はかつての勢いがない。ブランドにメッセージ性を求めるのが、消費の牽引役となっているZ世代と呼ばれる20代前半の若者たちの感性であり、意味不明の文字が書かれた服を見た目だけで買うような時代ではないらしい。「Superdry」も、今は日本語の書いていないアイテムが主流だ▼ブランドのメッセージ性といえばナイキの「JUST DO IT」がある。もともとは1988年に始まったキャンペーンのコピーだった。これが大成功し同社をトップブランドに押し上げた▼シンガポールで先日、「JUST DO IT」と書かれた下に「さっさとやれよ」と日本語で書かれたTシャツをみた。誤訳ではないが、人を鼓舞する含みがない。ナイキをちゃかしているようでもある▼着ていた少女は、Z世代に続くアルファ世代だろうか。日本語を理解していたかははなはだ怪しいが、次世代の感性は、現在の主流とはまた違ったものを求めるのだろうと予感させられた。(22・8・25)

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