気象庁が昨年大きな被害をもたらした台風15号を「令和元年房総半島台風」、19号を「令和元年東日本台風」と名付けた。顕著な被害をもたらした気象現象や地震、噴火について命名しており、2018年に改定した命名基準に沿ったものだ。台風では77年の「沖永良部台風」以来となる▼災害における経験や貴重な教訓を後世に伝承することなどが命名の目的。気象現象の名称では甚大な被害をもたらした豪雨が多く、異常気象のせいなのか、近年毎年のように命名されている。通常、年月の後に地域名が付いており、これを見るだけで当時の悲惨な光景が蘇ってくる▼気象庁が命名した平成23年東北地方太平洋沖地震から間もなく丸9年。この地震による被害と、それによってもたらされた災害の名称が、当時の政府が了承した東日本大震災だ。甚大な被害状況は度々テレビでも取り上げられ、多くの人の目に焼き付いている。その後はエネルギーの安全性や省エネに対する国民の意識もかなり変わった▼猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の正式名称は世界保健機関(WHO)が定めた「COVID-19」。命名されたことで歴史に残るであろう被害の実態を覚悟させられる。後世への教訓には早いが、後手に回った対応策など、今のうちからしっかり検証しておく必要がある。(20・2・27)

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