深夜に帰宅すると、ときどき個室の机の上に老人が書いたメモが置いてある。大抵、読むとイラッとするようなことが書いてある。先日、電子タバコは極めて体に悪いので絶対にやめるように、と書いてあった。少し前には酒が一番悪いのでやめるように、と書いてあった。ほとぼりが冷めるまで、紙巻に戻すことにした▼拙宅の老人はインターネットはできないので、一日中テレビばかり見ている。とくに「ためして◯◯◯◯」といった健康法を喧伝する番組が放映された夜はあぶない。メモが置かれる確率が高いからだ。明らかにメモはテレビのせいであると結論付けられる▼週末、スーパーに買い物に行くことが習慣になっている。老人のための買い出しが主たる目的である。そしてこの週末、スーパーの異変を実体験することになった。報道されている通りトイレットペーパーや消毒用のアルコールの棚は見事に空(カラ)である。それだけでなく、お米の棚も空。カップラーメンは、劇辛など尖ったタイプの商品を除いてやはり完売状態だった。子供が学校に行けないせいもあるのだろうが、雛祭りムードは皆無であった▼老人のメモを読んで気付くのは、絶対、一番などのストロングな表現が多いことだ。メディアの煽りは恐ろしいと感じる。お前が言うな?(20・3・3)

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