異動の季節がやってきた。4月から職場や生活が大きく変わり、ストレスを感じている人もいるだろう。そんな人にぜひ読んでいただきたい本が「チーズはどこへ消えた?」。数年前にベストセラーになったが、100ページもないのですぐ読み切れる▼2匹のネズミと2人の妖精が、迷路の中で食糧のチーズを探す物語。ある日、大量のチーズを発見するが、いずれ底をつく。誰かが持ち去ったに違いないと疑心暗鬼になりつつ根拠もなく再び誰かが持ってくるはずと同じ場所に居続ける妖精、このままでは餓死すると重い腰を上げ一歩を踏み出す妖精、古くなり始めたチーズを臭いで敏感に察知し新しいチーズを求め移動するネズミ、一早く次のチーズを探し始めるネズミなど、変化にどう対応すべきなのか考えさせられる▼新しい異動先では、これまで苦労して身に付けた知識や成功体験が通用しないかもしれない。しかし、今までの職場ではもうチーズが古くなり始めているのに気付いていないだけかもしれない。新しい異動先には、誰も手を付けていないもっと大きなチーズがあるかもしれない▼世界はこれまで体験したことのない激動の時代に突入する。古いチーズにしがみつくより、誰も見付けることができなかった新しいチーズ探しに多くの人に挑戦してほしい。(21・3・22)

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