東南アジア駐在時代、毎年取材で訪れていたインドネシアがふと懐かしくなった。海洋国家である東西の距離は東京とジャカルタ間に迫るほど広く、数百もの民族が暮らす多民族国家である。今年初めに首都移転が国会で決まり、再来年から移転を始めるが、20年以上かけて完了を目指す計画というから、さすが「遅々として進む」国である▼インドネシア全土に約350万店あるのが、ワルンと呼ばれる個人商店。日本のコンビニ店舗数6万店弱と比べると、いかに多いかがわかる。おむつ1個、シャンプー1回分など小分けに売られ、市民生活に欠かせないインフラだ▼そのワルンでデジタル化が進んでいるという。消費者がインターネットで注文した商品をワルンで受け取ったり、店主が携帯アプリを通じて細かい商品をまとめて仕入れたり、デジタル化によって利便性が高まっている。店主はこれまで仕入れに出掛ける際に店を一時的に閉める必要があったため、売り上げ増につながる。世界最悪ともいわれるジャカルタの交通渋滞は、首都を移転しようとする背景の一つだが、サプライチェーンが効率化され渋滞軽減にもつながる▼来年は日本ASEAN友好協力50周年を迎えるが、インドネシアとは国交樹立から60年を超える。古くからの友人として大切にしたい。(22・7・25)

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